畳に関する質問をいくつか記事にまとめてみました。
畳に関するお悩み・お困りごとの解消のキッカケになりましたら幸いです。
畳の表替えは いくらくらいしますか?
畳表替えの相場は?
畳の表替えにかかる費用は平均していくらくらいですか?
よく頂くご質問なのですが、弊店では 和室の用途・和室にいる時間や設え(しつらえ)とご希望に添って、畳の提案させて頂いております。
「畳の表替え」の価格は、1畳につき 8,000〜30,000円前後が目安でしょうか。
もちろんもっと高級な国産畳表もありますし、もっと安いものもあります。
あまりに安い畳表は、すぐにささくれてしまったり、時間が経つと色ムラが出てくるものがあります。
基本的には畳の価格はイグサの長さによって決まることが多く、長いイグサ(良い土壌で丁寧に育てられたイグサ)は価値があり品質が良い。短いイグサ(成長・生育が良好ではなく、早く刈り取られたもの等)は、イグサの中身のスポンジ状の繊維密度が低かったり、クッション性が悪い、変色やささくれが生じることが多いです。
また、イグサから畳表になる際の編み方や使う糸によって丈夫さ・耐久性が変わってきます。
畳替えは何日掛かりますか?
基本的に「畳の表替え」は1日で作業完了することが多く、事前の採寸と打合せで朝に引き取り、夕方には納品できることが殆どです。(事前に畳表と畳縁を選んでいただき、価格のご確認を頂き、引取・納品日のスケジュール調整)
「畳の新調」は、畳表(畳の表面材)をくるむ土台(畳芯・畳床)まで新しくすることになりますので、畳芯・畳床の製作日数(+料金)が追加されることになります。畳がブヨブヨするなどの場合は、この畳芯・畳床が寿命(ヘタっていたり・腐っていたり)であることが殆どです。
畳芯・畳床の素材にもよりますが、畳芯・畳床の製作も含め、1週間〜10日が弊店の目安です。
和室の荷物が多い場合や大きな動かしづらいもの(骨董品・工芸品・金庫など)がある場合の工事日数・工事手順などは、事前に相談させていただきます。
畳は何年くらい持ちますか?
畳の寿命は、和室の環境(日当たり・湿気)や畳表の品質にもよりますが、畳床・畳芯も含め 8年〜15年を目安にされるのが良いと弊店ではお伝えしております。
畳表(イグサで出来た表面材・ゴザ)の寿命は、これも和室の環境(日当たり・湿気)とイグサの品質次第です。半年で色ムラが出てささくれてしまうものから、5年…10年経っても、ささくれずしっかりしたものまで。
長持ちの方法として、畳の表替えをして数年後に「裏返し」という方法があります。
いわゆるリバーシブルです。
裏返しすることで、本来の畳表(表替え直後の状態)に近い状態に、安価な工事費で復旧できます。
とてもエコな裏返し。良いものを長くキレイに使い続けたい方にオススメです。
良い畳表(イグサ)であるほど、裏返しは有効です。
一般的には、表替え後3〜5年後が裏返しの目安と言われる畳屋さんが多いですが、弊店では「2年で裏返し」をオススメしています。安い費用で和室がリフレッシュ出来て、イグサが持つ調湿機能なども保たれたままリバーシブル出来ることが多いです。
裏返しをすると、イグサの香りがまた少しだけする場合もあったり…という楽しみも♪
畳を張り替えないとどうなりますか?
畳が古くなるとどうなりますか?
和室の環境にもよりますが、畳のメンテナンスをせずに同じ畳を長く使っていると、傷みが激しくなったり、汚れが溜まってしまいます。その結果、ダニやホコリによるアレルギー反応につながります。
さらに畳芯・畳床まで傷んでしまい、「畳の表替え」で済むものが「畳の新調」になってしまったり、ブヨブヨ畳やダニ・シロアリの快適な住処になってしまうこともあります。
畳の上にカーペットを敷いても大丈夫ですか?
畳の上にカーペットを敷くと、通気性が悪くなります。通気性が悪くなると、カビやダニが繁殖する可能性が高くなります。
そのため、基本的には畳の上にカーペットを敷くことはオススメできません。
いい畳表であればあるほど、イグサが空気中の湿気・水分を吸収したり放出したりします(天然の調湿効果)。そこに蓋(フタ)をするように、覆いかぶせるようにカーペットを敷いてしまうと… もう、おわかりですよね。
カビやダニは高温多湿の環境が大好きです。畳の表面をカーペットで覆ってしまうと…畳(イグサ)が空気に触れない状態になり、カビ・ダニが繁殖しやすい環境が出来上がります。
「畳にカーペットを敷くのはNG」と言われるのは、これなのです。
小さいお子さんがいる家庭では、繁殖したカビやダニを吸い込むことで、病気やアレルギーになる可能性もあります。
どうしても畳の上にカーペットを敷きたい場合は、部分的にカーペットを敷くなどの対応。
もしくは、畳に防カビ・防ダニシートを施す。さらに、防ダニ・抗菌などの加工がされているカーペットを選ぶと良いでしょう。
さらに、定期的に和室(畳の部屋)を換気したり、カーペットを外して掃除をしたりすることで、畳の上のカーペット敷きでも、カビ・ダニの心配は少なくなるでしょう。
畳の張替え(表替え・裏返し)は自分で出来ますか?
ご自身で畳の張替えをすることは不可能ではありませんが、オススメはしません。
網戸の張替えのようなイメージをされている方もいるかもしれませんが、自分で言うのも何ですが、技術と経験が必要とされます。
まず張替えの場合、「畳表」が手に入りづらいでしょう。またキレイにピンと貼る道具の有無、段差や隙間を考えた張替えと納まりを…と考えると、時間と費用的にも畳職人に依頼されるのが、結果的に良いかと思います。
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▼畳Q&A
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畳職人30年以上の私が語る、国産畳と中国産畳の違い
畳を長年扱ってきた私から見て、国産畳と中国産畳には大きな違いがあります。専門用語はなるべく避けて、わかりやすくご説明します。
その前に、国産畳は10年後…15年後には、なくっているかもしれません。
というのも
平成元年5,500件あったイ草農家さん
令和3年なんと319件まで激減。
現在は 200件台になっております。
さらに後継者問題。
現在18~35歳以上の後継者のいるイ草農家さんは…(割愛)
だからこそ私たち畳屋が、1人でも多くの方に国産畳の良さを伝え、皆様に気に入って頂ける活動を続けてゆくよう、日々心掛けております。
今後、世の中に出回る畳が「中国産」のみになる前に、できる限りのことを積み重ねて参ります。
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===国産畳と中国産畳の違い===
1.品質の違い
【耐久性】
国産畳:じっくりと時間をかけて乾燥させたイ草を使用するため、耐久性が高く、長くご愛用いただけるものが殆どです。
中国産:以前に比べ品質は向上しているようですが、乾燥時間が短いものが多く、表面が傷つきやすく、ヘタリやすい傾向があります。
イ草の中身はスポンジ状になっており
クッション性能でもあり、スポンジ構造が、和室の湿気などを吸ったり吐いたりと呼吸をします。ある実験結果によると、国産畳1枚で500mlの水を吸収するとのレポートもあります。
国産畳:密度が高い・詰まっている
中国産:密度が低い・国産よりはスカスカ
つまり耐久性と調湿機能は、国産畳が高いことになります。
【香り】
国産畳:イ草本来の爽やかな香りが楽しめます。個人の感想になりますが「まるで森林浴をしているよう」「心地よい香り」と感想を頂くことが殆どです。
中国産:国産に比べて香りが弱いものが多い。モノによっては薬品の香りがするものも。
【見た目】
国産畳:イ草の選別が細かく、色ムラが少ない美しい畳に仕上がります。品質の良い国産畳表は、数年後には美しい飴色になります(経年変化を楽しむことができます)
中国産:品質は向上していますが、色ムラやささくれが目立つことがあります。
【肌触り】
国産畳:ふっくらとした弾力があり、足触りが良いのが特徴です。
中国産:国産に比べてやや硬く、足裏に感じる感触が国産畳にくらべ異なります。
2.価格の違い
一般的に、国産畳の方が中国産畳よりも高価です。
その理由は、イ草の品質、乾燥方法、手間ひまかけて作られていることなどが挙げられます。
3.その他の違い
【生産量】
国産畳:日本の気候風土に適したイ草を使用しており、生産量が限られています。
中国産:大量生産が可能です。
【環境への配慮】
国産畳:日本の伝統的な製法で作られており、環境への配慮がされています。
どちらを選ぶべきか?
どちらの畳を選ぶかは、ご自身のライフスタイルやお部屋の雰囲気、予算によって異なります。
長く愛用したい方
国産畳:耐久性が高く、長くご愛用いただけるものが多いです。
自然な香りが好きな方
国産畳:イ草の香りが楽しめます。
予算を抑えたい方
中国産畳:国産畳に比べて価格が抑えられます。
畳は、和室のの雰囲気を大きく左右する要素です。
どちらを選ぶか迷った際は、ぜひ畳のプロにご相談ください。
国産畳 | 中国産 | |
耐久性 | 高い | 国産より低い |
香り | 強い | 国産より弱い |
見た目 | 美しい | ムラがある |
肌触り | ふっくら | やや硬め |
価格 | 標準〜高い | 安い〜やや安い |